ZAMのデメリット

ZAM(ジンク-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板)は、優れた耐食性を持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。

主なデメリット

  • 水中や流水環境での使用: 水中や常に水が流れるような環境下では、ZAMの特性である安定した保護皮膜が形成されにくく、十分な耐食性を発揮できない場合があります。通常の溶融亜鉛めっき鋼板よりも早期に赤錆が発生する可能性があるため注意が必要です。
  • 加工時の注意:
    • 加工時に表面を損傷すると、耐食性や塗装性に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、プレス加工で使用する潤滑油の種類によっては、めっき層を腐食させる場合があるため、潤滑油の選定と加工後の脱脂などの後処理が重要です。
    • 鋼板は経時的に硬化する傾向があり、加工性が低下する場合があります。そのため、なるべく早めに使用することが推奨されます。
  • 溶接性:
    • ZAMのめっき層は亜鉛を主成分とするため、溶接時の熱でめっきが蒸発し、通常の鋼板よりもスパッタ(溶接時に飛散する金属粒)やヒューム(煙)が多く発生します。溶接作業時には適切な安全対策が必要です。
    • 溶融亜鉛めっき鋼板と同様に、溶接時に亜鉛が蒸発するため、ヒュームの量が増加し、スパッタの飛散量が多いことによる火傷や火災のリスクがあります。
    • ZAM鋼板の溶接は、冷延鋼板や熱延鋼板と比較して、接合部の強度や変形において劣る場合があります。スパッタ、ブローホール(気泡)、割れが発生しやすい傾向があります。
    • 適切な溶接条件(溶接機の種類、継手の形状、ギャップの設定、溶接速度など)を守ることで、不良な接合を避けることができます。
  • コスト: 一般的に、ZAM鋼板は通常の溶融亜鉛めっき鋼板よりも高価になる傾向があります。ただし、長期的な視点で見ると、メンテナンスコストや交換コストの削減により、トータルコストが低くなる可能性もあります。
  • 沿岸部での保証: 海岸線から近い場所(特に波しぶきがかかるような場所)では、ZAM鋼板の保証が適用されない場合があります。

補足

ZAMは、切断面においても優れた耐食性を発揮するなどの多くの利点を持つ高機能な鋼板です。上記のようなデメリットを理解した上で、使用環境や用途に合わせて適切に選択・使用することが重要です。

ご使用の環境や具体的な用途について教えていただければ、より詳細な情報や注意点をお伝えできるかと思います。